ホーム >> 連載講座 >> ネットワークアナライザの基礎 >> スムージング

2004/02/03

スムージング

ホーム 連載講座 Tool 提供サービス リンク

ネットワーク
アナライザの基礎

[ ネットワーク=回路網 ] [ Sパラメータ ] [ 基本ブロック ] [ アナライザの種類 ] [ LogMagと位相 ] [ 群遅延 ] [ スムージング ]

今回は、スムージングという機能についての説明です。

前回、群遅延を表示するときに、アパーチャの設定をして、微分の幅dfを調整できる、という話をしました。

図(a)は、特にアパーチャの設定をせずに、群遅延を表示した場合の一例です。表示結果には、ノイズがのっています。これは、微分する前のデータに、ノイズがのっているため、細かい間隔での変化量を計算すると、ノイズの影響が大きく見えてしまっていることにより起きる現象です。

この程度でしたら、まだ測定値はなんとか読み取ることができますが、アパーチャを設定してスムージングをかけてやることにより、ノイズ成分を低減させた測定結果を得ることができます。図(b)は図(a)のデータに対して、アパーチャを5%でスムージングをかけたデータです。被測定物の群遅延特性について、より本来の特性に近いデータが表示されているように見受けられます。


図(a) アパーチャ規定値


図(b) アパーチャ5%

このようにスムージングは、表示データのノイズ成分を低減させて、よりなめらかな測定結果をえるために使用することが可能です。しかしながら、スムージング特有のデータ処理方法を良く理解せずに使用すると、思わぬトラブルを招くことがあります。

スムージングというのは、データに対して横のデータ同士で移動平均をとっています。例えば、101ポイントで測定した時に10%のスムージングを取ると、表示ポイントを中心に、左右10ポイント分のデータを足して10で割った値が表示されます。

フィルタ特性の通過特性を評価する場合についてみてみましょう。図(c)は、フィルタの通過特性をLogMagで表示し、もとのデータ(青で表示)に対して、アパーチャ5%のスムージングをかけています(ピンクで表示)。

横のデータ同士で移動平均を取っているため、スムージングをかけたデータの特性は周波数がずれて表示されます。確かに波形はなめらかになっていますが、これではフィルタの通過特性の評価はできません。

このような場合には、スムージングではなくアベレージングを使用しなくてはいけません。図(d)は同じものにアベレージングをかけたものですが、余計なノイズ成分が取り除かれ、フィルタ本来の特性が表示されているのが分かります。

このようにスムージングは、群遅延の評価時に使用するものであり、その他のフォーマットで使用すると、本来の特性を異なる結果が表示されますので、注意が必要です。


図(c) スムージング


図(d) アベレージング

戻る 上へ

オンサイトセミナ

[ ホーム ] [ 連載講座 ] [ Tool ] [ 提供サービス ] [ リンク ]

有限会社 フライハイ

〒211-0041

神奈川県川崎市中原区下小田中1-5-27-503

Tel::050-1117-7401

Fax:044-799-7401

E-Mail : support@flyhigh.co.jp


このサイトはリンクフリーです。 © Flyhigh Co., Ltd. Since 2003